morph3 機構部開発コンセプト

運動制御技術、マシンビジョン技術および行動軌範型AI・行動生成のヒューマノイドに必要な要素とそれらの統合技術の研究開発用プラットフォームとして、6項目を満たすことがコンセプトとして挙げられた。

システムの高機動性と自律・自立性

ヒューマノイドであるからには、二足動歩行が行えることは必須事項である。そのため、動歩行運動を実現しやすいようにメインCPU、バッテリ等の質量の大きな機器はなるべく上部に設置し、高重心化を図った。同時に、二足歩行制御等の運動制御手法を研究するための実験用プラットフォームは、外部電源やボディの運動性能の低下を招く外部機器との通信用ケーブルを排除し高機動性を確保した。これにより、システムの自立・自律性も同時に確保できたのである。

システムの拡張性・メンテナンス性

morphでは、研究およびそれに伴う実験の効率化を図るために機構部・電気系統のハードウェアおよびソフトウェアの3構成要素において工夫を施すことで、拡張性とメンテナンス性を確保している。 まず、ネットワーク環境を利用した開発環境を構築すること、デバイスソフトウェアのモジュール化を行うことで、ソフトウェア面でメンテナンス性と拡張性をシステムに持たせた。電気系統に関しても同様に分散制御システムを導入し、機能ごとにCPUシステムのモジュール化を行った。さらに機構部に関しても四肢のモジュール化を行い、使用目的・用途に応じ各部の交換が行えるようボディを設計した。 このように徹底したモジュール化を施すことで、多数のセンサ、アクチュエータおよびボディ各部の増設・交換の利便性を実現したのである。

安全性・低コスト化

ヒューマノイドは二足歩行を行うため、常に転倒の危険性が伴う。特に研究段階においては、受身・起き上がり動作の制御を検証する為に、故意にロボットを転倒させる局面も予想されるため、下記3項目を考慮した。

その結果、morphのボディは身長40cm以下、質量を2kg前後と小型・軽量化し、ロボットの稼動空間の省スペース化を達成。さらに、実験場所を容易に確保できたのである。また、ボディの小型化はシステムの低コスト化と各部改変性の利便性を高める効果も期待できる。

morphの概要

morph1が、全長365mmなのに対しmorph2は340mmと小型化が達成されている。morphでは、バッテリ、制御用メインCPU等の重量の大きい機器は全て胴体上部に配置し、高重心化を図りつつ、全質量の軽量化も行った。その結果、両モデルともに、 質量2kgのボディにバッテリを含む全制御系を搭載することに成功した。morphは、腰の2軸(pitch軸, yaw軸)を含む全26の自由度を持つ。各関節の可動範囲が広く、腹部に2軸を有する事とあいまって、機構的にも多彩な動作ができるようになっている。